ポール・クライスの理論

筆者が発見したのは「反復」である。ここでアメリカの言語学者のポール・クライスの提唱した理論を紹介したい。

「グライスの『作法の手順』は四つの条項によって成り立つが、その三番目と四番目は『短くあれ(不必要な冗談を避けよ)』『順序だてよ』というものだ。」(p.93)

しかし、ここのナクナエおばさんの話は表面的にはぴったり一致する。つまり繰り返しが多く、時間的な前後関係も錯綜している。

しかしこれは「不必要なこと」なのか。

また会話体にも日本では決してみられない体系が存在する。話を物語る際に「かけあい」が行われる。二人が過去を回想する会話する際に、(ここではAとBさんが話しているのだが、二人はAさんとその場にはいないCさんとの恋愛関係について話している。)AさんとBさんにおもしろい特徴が見られる。

それは、BさんがCさんになりきってはなしてAさんの恋愛事情について共に回想しているのである。

AさんとBさんがこの内容の話を過去にもしていたというのが前提であるが、Bさんは他者の言葉を引用しているのだ。このように「演劇」のようともいえる会話形態が成立している。